![インターネットの法と慣習 かなり奇妙な法学入門 [ソフトバンク新書]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/411X5mYOU1L._SL160_.jpg)
IT屋にとって新鮮な知見が多く参考になる
ネット上の著作権問題について調べていて手に取った。
期待したビジネス上の実務的なヒントはなかったが、アカデミックで根本的な問い、つまり、人間にとって法とは何か、というところから説き始めて、ネット上の「権利」や「自由」を守るための「法」の発生について精緻な考察を積み重ねている。
特に印象深かったのは、p166の以下のくだりだ。
今、人々はまとまらなくなっている。まとまらない人の政治的不平不満は、
以前のようなデモや暴動やストライキではなく、無差別殺人や通り魔など
の「一人テロ」を引き起こし、自殺、引きこもりなど「一人ストライキ」
を引き起こしている。(筆者要約)
昨今の世相を、ネット上に「法」を作る仕組みを政治が用意しないからである、という観点で切り取った考察には全く初めて出会った。
法学にはまったく素人の筆者にとっては新鮮な知見が多く、大いに参考になった。まだ著者の言わんとするところをつかみ取ったとは言えないが、繰り返し読んで、ネット上の著作権問題について、本質的なレベルでの理解を深めたい。
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